Subject: ヤコブの手紙「知恵ある者」 |
From: Shinya Daniel Kanno |
Date: 2010/03/18 17:01 |
To: Saiwainet |
「知恵にふさわしい良い生き方」 菅野審也 2010.03.18 ヤコブは国外に散っている十二の部族に送ったこの手紙の中で、「知恵」という ことばを手紙全体の一つのテーマとしている。まず、出だしから知恵が欠けてい る人は神にそれが与えられるように祈りなさいというヤコブの命令があり(1: 5)、後半には、知恵のある者について具体的に話されている。では、この苦しい 状態にある兄弟たちにとって何が「知恵」なのか。また、その「知恵」にふさわ しい柔和な行い、良い生き方とは何なのだろうか。 この手紙を送られているユダヤ人たちは試練の中にある。そのような彼らにとっ て、敵とは特に、外からの者ではなく、自分であったり、または自分たちの中に いる者たちであって、誘惑や、だましごとが大きな問題となっている。その問題 の大きな理由の一つとして、忍耐のなさが取り扱われている。そのため、手紙の 冒頭では、忍耐を完全に働かせ、何一つ欠けたところのない完全な者となるこ と、また、知恵の欠けた人がいるのなら、その人は神に願うようにということが 彼らに対するヤコブの命令となっている。 では、ヤコブの命令にもあった「知恵」とは何なのだろうか。3章の終りでは、 上からの知恵と地上に属する知恵についてはっきりと対比して、述べられてお り、上からの知恵は「第一に純真であり、次に平和、寛容、温順であり、またあ われみと良い実とに満ち、えこひいきがなく、見せかけのないものである」、そ れに対して地上に属する知恵は、「苦いねたみ、敵対心」であると教えられてい る。ユダヤ人たちは苦しみの中にあって、兄弟の間に貞操のない人、二心の人、 むなしい誇りをもって高ぶる人、金持ち等がおり、上からの知恵ではなく、地上 に属するものにだまされ、兄弟の中で戦いや争いがあった。ヤコブはそのような 彼らを戒め、彼らが知恵にふさわしい良い生き方をするようにと励ましている。 この論文の初めに、忍耐のなさが彼ら、ユダヤ人たちの問題となっていると書い たように、ヤコブの手紙には、「忍耐」や「耐え忍ぶ」ということばが10回も出 てきている。この忍耐ということばは、先に述べた知恵とつながっており、主の 御名によって語った預言者たち、またヨブの忍耐について模範とするようにと言 われていたり(5:10-11)、二度耐え忍ぶ者は幸いであると言われていることから も(1:12, 5:11)、ユダヤ人たちにとって、知恵にふさわしい良い生き方とは、す なわち、忍耐を持つということではないかと考えられる。 忍耐を持つという具体的な歩み方については、ヤコブの手紙と共通点の非常に多 い山上の説教から教えられるのではないだろうか。-- Shinya Daniel@KannoFamily mailto:+shinya@kanno.com :)