Subject:
ヤコブの手紙「知恵ある者の良い生き方」
From:
Shinya Daniel Kanno
Date:
2010/03/19 13:56
To:
Saiwainet

「知恵ある者の良い生き方」 菅野審也 2010.03.19

ヤコブの手紙は国外に散っている十二部族に送られたものである。その手紙の中
で、「知恵」ということばが全体を貫く一つのテーマとなっている。導入では、
知恵が欠けている人については、神にそれが与えられるように祈りなさいという
命令があり(1:5)、後半では、知恵にふわしい柔和な行い、良い生き方について
教えらている(3:13)。では、試練の中にあるユダヤ人たちにとって、何が「知
恵」であるのか。また、その「知恵」にふさわしい良い生き方とは何なのだろうか。

この手紙を送られたユダヤ人たちは試練の中にあった。そのような彼らにとって
敵とは、特に、外からの者ではなく、自分たちの間にいる者たちであって、貞操
のない人(4:4)、二心の人(4:8)、むなしい誇りをもって高ぶる人(4:16)、金持ち
たち(5:1)が問題の大きな原因となっていた。ユダヤ人たちはそのような兄弟た
ちの欲に誘惑され、兄弟たちの間に戦いや争いを起こし(4:1)、悪い考え方で人
をさばいていた(2:4)。そこで、ヤコブは手紙を送って彼らを戒め、知恵を求め
るようにと彼らに命令している。

その知恵については、3章の終りで、上からの知恵と地上に属する知恵との対比
を通して、具体的に教えられている。上からの知恵とは、「第一に純真であり、
次に平和、寛容、温順であり、またあわれみと良い実とに満ち、えこひいきがな
く、みせかけのないものである」(3:17)、それに対して地上に属する知恵とは、
「苦いねたみ、敵対心」(3:14)である。
また、知恵は、ヤコブの手紙で大切なことばの一つとされている「忍耐、耐え忍
ぶ」(10回)ということばとも関係があり、忍耐すること、それが知恵であると
いうことも教えられている。さらに、5章では、忍耐については主の御名によっ
て語った預言者たち、特にヨブを模範とするようにと言われていることからも
(5:10-11)、ヨブの生き方を通しても知恵について教えられているということが
わかる(ヨブ記28:28)。

これらのように、苦難の中にあって知恵を持つとは、主を恐れること、またみこ
とばを実行する者になることであり(1:22)、これが兄弟愛である。そこで、も
し、私たちが知恵にふわしい良い生き方をし、完全な者となるときには、神を愛
する者に約束されている報いを受けることができる。その報いについては、「耐
え忍ぶ者は幸いである」という言い方からも連想できるように、山上の説教で具
体的に教えられているのではないだろうか。

-- Shinya Daniel@KannoFamily  mailto:+shinya@kanno.com :)