Subject:
2テモテ:「テモテの登場人物分析」
From:
Miwaza Jemimah
Date:
2010/04/07 6:56
To:
saiwainet@yahoogroups.jp

使徒パウロはこの手紙を通して、福音の働きをしているテモテを励まし、命令を与えた。その中で彼は、書き送っている事柄について、実在の人物の名前を挙げて説明している箇所が何度か出てくる。1章5節に登場する、祖母ロイスと母ユニケ等、具体的な事が明白でない者たちもいるが、他の聖書箇所で参考となるストーリーが明白な者たちもいる。では、2テモテに登場する人物の具体的な話を、それぞれの参考箇所から分析してみよう。

テモテ

まず調べてみるべきなのは当然、パウロがこの手紙を送った相手、テモテであろう。パウロは始まりで彼を「愛する子」と呼び、彼の信仰を喜ぶと同時に、神様が与えてくださった賜物を、再び燃え立たせるようにと励ましている。テモテについては、使徒16章に書かれている。彼の母はユダヤ人であったが、父がギリシャ人であったため、自分と福音宣教に連れて行きたかったパウロは、彼に割礼を受けさせた。その事もあって、パウロは彼を1テモテと2テモテの両方の手紙で「わが子」と呼んでいるのではないだろうか。また、テモテはルステラとイコニオムの兄弟たちの間で評判が良かった(使徒16:2)。そのルステラとイコニオムというのは、3章11節にある通り、パウロがひどい迫害にあった場所である。その出来事の詳細は、ユダヤ人たちと扇動された群集がパウロを殺そうと石打にした、というもので使徒14章19節からに書かれている。

テモテの母ユニケ

テモテの母ユニケについてパウロは1章5節で言及しているが、彼が書いているように、テモテにも与えられた信仰は、まず彼の母ユニケと祖母ロイスに与えられたものであった。その他の事柄については聖書に特に書かれていないが、使徒16章1節からは彼女がユダヤ人であり、ギリシャ人の夫がいたということが分かる。

オネシポロの家族

1章16節でパウロが言及した、オネシポロとその家族もまた、テモテの祖母ロイスと同じように、2テモテにのみ登場する人物である。それらの箇所によると、オネシポロたちはパウロが牢にいる時にも彼を支え、ローマでもエペソでもそのようにした、ということが分かる。彼らは、福音のためにパウロが鎖につながれていることを恥と思わなかったのである。それは、パウロがこの手紙を通してテモテに命じている事でもある。「私が主の囚人であることを恥じてはいけません」と。なぜなら、イエスにある救いと栄光が約束されているからだ(2:10)。

フゲロ・ヘルモゲネ(1:15)、ヒメナオ・ピレト(2:17)、ヤンネ・ヤンブレ(3:8)、デマス

テモテへの手紙でパウロが言及した人物は、テモテとその家族や、オネシポロと彼の家族のように正しい者ばかりではなかった。むしろ、そうではない者の名前のほうが多く書かれているようである。その中には、キリストの名の為に受ける苦しみをパウロと共にした者たちとは違い、パウロを捨て、彼から離れて行ってしまった者と「俗悪な無駄話」を広める者たちがいた。2章17節に出てくるヒメナオとピレトは後者のほうであり、ヒメナオについては1テモテ1章20節にも書かれている。彼らは福音を述べ伝えるどころか、復活について偽りの教えをしたのだ(3:18)。彼らはその教えによって人々の信仰をくつがえしてしまった。ヒメナオについては、その行いのためにパウロが「サタンに引き渡した」と1テモテd言っているほどである。

パウロは旧約時代のストーリーにも触れており、3章8節では「信仰の失格者」ヤンネとヤンブレの話が書かれている。クロスリファレンスにある参考箇所によると、彼らはモーセがパロの前で十の印を行った時に、対抗して魔術を行った呪法師の二人のようだ(出エジプト記7章11節)。モーセとアロンが印を行うと、彼らも秘術を使って同じ事をした。実際のストーリーの中ではそこまで「悪者扱い」されているようにも思われるが、パウロは3章8節で彼らを「知性の腐った、信仰の失格者」と非常に厳しい呼び名をもって呼んでいるほど、彼らの罪は大きかったのである。続く3章でパウロは、テモテが迫害の中でもパウロに付き従ったテモテをヤンネとヤンブレの対比的な話としてあげている。

4章10節で「今の世を愛した」ためにパウロを捨ててしまった、と言われているデマスだが、コロサイ人への手紙が書かれた時にはまだパウロと共にいたようで、コロサイ人への手紙の最後の挨拶では「デマスがよろしくと言っています」と書かれている。

銅細工人アレキサンデル

パウロは4章で銅細工人アレキサンデルから受けた苦しみのために、その悪いしわざに対する報いを神様に求めた。その問題とは、パウロたちの言葉に逆らう、というものだった。アレキサンデルについてその他特に書かれていないのだが、興味深いのは使徒19章に「銀細工人デメテリオ」という似たような人物が登場することだ。このデメテリオという人は、アルテミス神殿の模型を売って儲けていたのだが、パウロが手で作った物は神では無い、と言ったために、自分の仕事と信仰が危うくなるので非常に怒り、人々に訴え、群衆を扇動してパウロの同行者を迫害した。