Subject:
ピレモンへの手紙「役に立つ子」
From:
Mikuni Kanno
Date:
2010/04/23 16:53
To:
saiwainet@yahoogroups.jp

ピレモンへの手紙「役に立つ子」 2010.4.23

パウロは同労者であるピレモンに手紙を送っている。彼が手紙を送った理由は、獄中で生んだオネシモのことをピレモンに送り返そうと思っているからである。

パウロは獄にいる中でオネシモを生んだ。この「生んだ(G1080)」という言葉は、新約聖書に65回出てきており、普通に父が子を生んだという時に使われている。例えば、マタイ福音書1章にある系図では、「~に~が生まれ」という言い方が繰り返されているが、ここで使われている言葉がオネシモについて使われている言葉と同じである。また、キリストがお生まれになったという時にも同じ言葉が使われている(マタイ1:16)。これによって、パウロにとってオネシモは本当の子のようであり、オネシモにとってパウロは本当の父親のようであったことが分かる。

もともと、オネシモはピレモンのところにいたが、しばらくの間離されて、パウロの所にいたようである(15節)。パウロの所にいたことによって、前は役に立たない者であったオネシモが、役に立つ者となった。そして、パウロの心そのものが与えられたのである(11~12節)。そこで、パウロはコロサイ人への手紙4章9節でオネシモのことを「忠実な愛する兄弟」と呼んでいる。

オネシモの名前は、「役に立つ、有益な」という意味であって、まさしく今の状態のオネシモは、この名前の意味にふさわしい者となったのである。新約聖書には同じ名前の意味を持つ人がもう一人出てくる。それは、オネシポロである(第二テモテ1:16-18,4:19)。彼はパウロを元気付け、ローマで見つけ出し、さらによく仕えたといわれている。オネシポロもパウロにとって「役に立つ者」だったのである。

このように、パウロとオネシモによって、父と子の関係を見ることができる。パウロはピレモンにこのような関係、すなわち愛する兄弟としての関係を持ち、奴隷として扱わないようにお願いしている(16節)。これは、命令ではなく、パウロの愛によるお願いである(9節)。