Subject:
ヘブル人への手紙「新しい契約」
From:
Shinya Daniel Kanno
Date:
2010/05/13 7:28
To:
Saiwainet

「初めの契約よりもさらにすぐれた契約」 菅野審也 2010.05.13

「契約」ということば自体はヘブル人への手紙に17回も登場しており、この手紙
において「新しい契約」について教えられているということは非常にはっきりと
している。では、ヘブル人への手紙から教えられる新しい契約とは何か。さらに
は、初めの契約との一番の違いは何なのだろうか。

新しい契約がどのような契約であるのかを考えるにあたって、まずは古い契約が
どのようなものであったのかを知る必要がある。ヘブル人への手紙において、古
い契約については「初めの契約」という名称で教えられている。この呼び方は、
聖書に出てくる4回すべてがヘブル人への手紙のみにしか登場しない、この手紙
独特の呼び方である。その初めの契約については、特に8章、9章、10章の三箇所
から教えられるのではないだろうか。

ここから教えられる初めの契約とはすなわち、まず第一に、完全なものではな
く、欠けるところのあるものであったということ(8:7)、また、この契約におい
ては礼拝する者の良心を完全にすることはできなかったということである(9:
9)。さらには、その不完全さのために民の罪のためだけではなく、自分の罪のた
めにも毎日いけにえがささげられなければならなかったとも教えられている。
では、そのような古い契約は、キリストがこの世に来て下さったことによってど
のように変化したのだろうか。その新しい契約によって私たちにもたらされる祝
福はどのようなものなのだろうか。

古い契約が初めの契約と呼ばれているのに対し、新しい契約は、ヘブル人への手
紙において、「さらにすぐれた契約」として教えられている(7:22, 8:6)。この
新しい契約について教える中で、手紙の差出人はまずエレミヤ書31章の預言の箇
所を引用して、この契約があらかじめ預言されており、定められていたもので
あったことをあきらかにすると同時に(8:8-12, 10:16-17)、新しい契約というも
のが与えられたことによって、初めのものが神様によってはっきりと古いとされ
たということも述べている(8:13)。ここで、新しい契約について考えるにあたっ
て、一つ非常に目立つ言い方がある。それは、「新しい契約の仲介者イエス」
(8:6, 9:15, 12:24)。この言い方は手紙全体に3回出てくる言い方で、古い契約
と新しい契約との違いを明確にする言い方ではないかと考えられる。やはり、ど
ちらの契約においても大祭司が大きな役割を果たしているものである。

新しい契約においては、以前の大祭司とは違い、キリストご自身が私たちのため
に完全な大祭司となってくださったことによって、初めの契約ではなされること
がなかった、完全な贖いがなされたのである。それゆえ、私たちは、大祭司でさ
え年に一度しか足を踏み入れることの許されていなかった至聖所に大胆に入り、
真心から神に近づくことができるのである。これぞ、まさに初めの契約よりもさ
らにすぐれた契約である。

このようなわけで、ヘブル人への手紙を送られているユダヤ人たちは、初めの契
約に戻るようにという誘惑に耐え、永遠の契約の血によって新しい契約に属する
者とされた者らしく、完全な者となるようにという差出人からの励ましを受けて
いるのである(13:20-21)。

-- Shinya Daniel@KannoFamily  mailto:+shinya@kanno.com :)