Subject:
1テモテ:「パウロの信仰の子テモテの関係」
From:
Miwaza Jemimah
Date:
2010/06/26 9:51
To:
saiwainet

パウロの信仰の子テモテの関係

テモテへの手紙第一は、パウロが「わが子」と呼ぶテモテに対して、励ましと命令のために送った手紙である。パウロはテモテに限らず、何人かの使徒を「わが子」と呼んでいる。パウロが父であり、彼らが子であるという関係について、テモテへの手紙のみならず、パウロの手紙から何を学ぶことができるか?父と子の関係の重要性はなにか?

パウロがテモテに書き送った命令とは

パウロが彼の信仰の子テモテに対して、この手紙を送った目的とは、彼に命令を与えるためであった(1:18)。その命令とは、信仰の戦いを勇敢に戦い抜くように、というものであった。なぜなら、この時、パウロもテモテも福音を述べ伝えるために迫害にあっていたからである。それゆえ、パウロはその子テモテに対し、この手紙を通して励まし、命令を与えたのである。彼は2テモテでも引き続き、「強くあれ」という励ましの言葉を送っている(2テモテ2:1)。

そこで、わたしの子よ、あなたはキリスト・イエスにおける恵みによって強くなりなさい。
- 2テモテへの手紙2:1

旧約時代のストーリーにおける父子関係

血のつながりはない者たちが父と子の関係のように描かれている、というストーリーは旧約聖書にも何度かでてくるのだが、1テモテを学ぶときに大切なのは、モーセとヨシュアのストーリーである。ヨシュアは若い頃からモーセの従者として使えていた者であり(民数記11:28)、相続地に入れなかったモーセに変わって、カナンの地にイスラエルの民を導く、という働きをした。このストーリーと1テモテのつながりとは、モーセは「わが子」のようなヨシュアに対して、自分の命の終わりに、「雄々しくあれ。強くあれ。」と言って励まし、相続地を得るための戦いに送り出した、というところにある。つまり、これはパウロが信仰の戦いのなかにあるテモテを励ましたのと共通している、ということだ。また、この「父子関係」はモーセの死後、ヨシュアとイスラエルの民の間に続いた。それは、ヨシュアが民に対し「強くあれ。雄々しくあれ。」という励ましの言葉を与えたことからも明白である。モーセはヨシュアへ、ヨシュアはイスラエルの民へ、というようにその働きは相続されていったのである。

強く、また雄々しくあれ。恐れてはならない。彼らのゆえにうろたえてはならない。あなたの神、主は、あなたと共に歩まれる。あなたを見放すことも、見捨てられることもない。
- 申命記31:6

父エリヤから子エリシャへの相続

この他にも「父子関係」がある旧約時代のストーリーは存在している。たとえば、エリヤとエリシャの話である。この話に関しては、エリシャがエリヤにたいして「わが父。わが父。」と呼びかけたという箇所があり、その関係は非常に明白である。この呼びかけの後、エリヤはエリシャに「エリヤの霊」を与え、彼の働きは相続された。これによって、エリシャは預言の働きを続けたのである。

エリシャはこれを見て、「わが父よ、わが父よ、イスラエルの戦車よ、その騎兵よ」と叫んだが、もうエリヤは見えなかった。エリシャは自分の衣をつかんで二つに引き裂いた。
- 2列王記2:12

監督の任命における父子関係の重要性

パウロはテモテに対して教えていることの一つに、監督の任命に関することがある。その箇所の中で、パウロは監督になる者の条件として「自分の家庭をよく治めている」事と「十分な威厳をもって子どもを従わせている人」ということをあげている。同じ条件は、執事の任命に関しても書かれている。なぜなら、自分の家庭を治めることを知らない人が、教会を治めることなどできないからだ、とパウロは教えている。つまり、教会のリーダーたちと教会の関係もまた「父子関係」であると言える。

父子関係の成就

では、これらの「父子関係」は何を指しているものなのだろうか?行き着くところはどこなのか?それは、御父と御子の関係である。この「父子関係」がすべての基盤であり、また、成就である。また、御父と御子の関係は、モーセとヨシュアとイスラエルがそうであったように、その関係は御子と神様の民の間にも与えられ、クリスチャンは信仰の戦いを戦うという使命をあたえられたのである。

自分の家庭をよく治め、常に品位を保って子供たちを従順な者に育てている人でなければなりません。自分の家庭を治めることを知らない者に、どうして神の教会の世話ができるでしょうか。
- 1テモテ3:4-5

父子関係における働きの相続

これらの箇所やストーリーから「父子関係」において大切なのは、働きの相続である、ということが分かる。つまり、パウロがテモテに対してこの手紙を送った目的とは、子であるテモテを励まし、彼が与えられた働きを全うすることができるように、と教えるためであった、ということである。そして、パウロの働きを相続するテモテには、さらにその働きを教会に相続する、という使命が与えられている。それは、モーセとヨシュア、エリヤとエリシャ、また、御父と御子のすべてのストーリーにおいて共通のものである。