Subject:
ヨハネの手紙第二「真理のうちを歩む」
From:
Shinya Daniel Kanno
Date:
2010/07/21 15:28
To:
Saiwainet

「真理のうちを歩む」 菅野審也 2010.07.21

「真理<225>」ということばはヨハネの手紙第二と第三で合わせて11回使われて
いる。他の手紙と比べて特別に多く使われているわけでもないが、この手紙の長
さからすれば、5回、そして6回というのは、他の手紙以上に目立つものでありこ
の手紙全体のキーワード、またメッセージとなっていることは明らかである。で
は、ヨハネの手紙を送られた選ばれた兄弟たちが知らされた「真理」とはどのよ
うなものなのだろうか。

ヨハネの手紙第二と第三は非常に似ており、最初読んだだけではそれぞれの違い
を見つけることは非常に困難であり、なぜ、これほどまでに似た、ほぼ同じとも
言えるほどの手紙が二つも続いているのだろうかと不思議に思ってしまうもので
ある。そのような手紙の中を通して、差出人である長老たち、そしてヨハネは、
この選ばれた兄弟たちに「真理」について何を教えようとしたのだろうか。

この二つのヨハネの手紙においては、それぞれの手紙のメッセージ、すなわち違
いが何であるのかを考えるにあたって手掛かりとなる重要な言い方がある。それ
は、出だしと終りの言い方である。どちらの手紙も同じような始まり方、また終
り方となっているが、少しずつ違っており、その少しの違いがそれぞれの手紙に
おいて大きな役割を果たしている。すなわち、第二においては「長老から、選ば
れた夫人とその子どもたちへ」(:1)というあいさつとなっているものが、第三に
おいては「長老から、愛するガイオへ」となっており(:1)、個人の名前が挙げら
れている。また、終りのあいさつにおいては、第二では「選ばれたあなたの姉妹
の子どもたちが、あなたによろしくと言っています」となっているものが
(:13)、第三では「友人たちが、あなたによろしくと言っています」となってい
る(:15)。実はこの他にも、この論文のメインテーマである「真理」について考
えるときに忘れてはならない言い方がある。すなわち、「子どもたちのうちに真
理に歩んでいる人たちがいると聞いて、私は非常に喜んでいます。」(第2:4、第
3:4)という言い方で、どちらの手紙にもある言い方である。

この手紙を送られている兄弟たちは、他の兄弟たちと同じように、苦しみの中に
あり、反キリストや人を惑わす者たちから迫害を受けていた。また、第三の手紙
においては、デオテレペスのように、ヨハネの言うことを聞かず、教会の中で実
際に問題を起こす者たちもいたということが言われている。そこでヨハネは、そ
のような彼らに手紙を送り、御父から受けた命令に従って歩むようにと励まして
いる(第2:4, :6)。その命令とは、初めから私たちに与えられた命令、すなわ
ち、互いに愛し合うということであった。この命令こそが、御父の命令であり、
これを守ることが私たちにとって真理のうちを歩むことである。これが第二の手
紙から教えられる真理である。次に第三では、その真理について、旅人である兄
弟をもてなすことであると教えられている。御名のために旅を続けている使徒た
ち、キリストの弟子たちを実際に助けること、これも愛であり、真理のうちを歩
むことなのである。

そのようなわけで、第二の手紙から教えられる夫婦の愛、また第三の手紙から教
えられる兄弟愛こそが、ヨハネの教えている「真理」なのである。この真理のた
めにこそ、私たちはこの兄弟たちの同労者となれるのであり、私たち同労者が顔
と顔とを合わせて会う時には、キリストにある喜びが全きものとされるのである。

-- Shinya Daniel@KannoFamily  mailto:+shinya@kanno.com :)