Subject:
詩篇32篇 放蕩息子のたとえ
From:
"+mikuni@kanno.com" <mikuniML@kanno.com>
Date:
2004/05/13 12:21
To:
<saiwainet@yahoogroups.jp>

こんにちは。菅野みくにです。

放蕩息子のたとえ(ルカによる福音書15章11-32節)をもういちど見て、昨日気がつ
かなかったことを書きました。

■参考にした注解書:

聖書の集中構造 下 新約篇
 森 彬著

■並行構造:

放蕩息子のたとえは、「たとえの王」と呼ばれている。このたとえは、前半と後半に
分けることが出来、それぞれが並行している。

A 12節 「あなたのものを私に」(弟が父に)
 B 13b節 弟の家出
  C 13c-14a節 蕩尽
   D 14c,16a,17c節 飢えに苦しむ弟
    E 15b,16b節 豚飼への零落と人々の冷遇
     F 18,19節 父へのざんげ(決意として)
      G 20a節 父のところへ出かける子
       H 20b-20c節 息子を見つけて、深くあわれむ父(核)
      G' 20d節 走り寄る父
     F' 21節 父へのざんげ
    E' 22-23a節 子としての復権と父の厚遇
   D' 23b節 「食べて楽しもう」(父が弟息子に)
  C' 30a節 蕩尽(兄が言及)
 B' 30b節 弟の帰還(兄が言及)
A' 31c節 「私のものはお前のものだ」(父が兄息子に)

□質問:

なぜ、父のところへ出かけること走り寄る父と言うことをあえて並行構造に出してい
るのはなぜか?並行していることが分からないわけではない。

■放蕩息子の兄について:

放蕩息子と父の関係は24節(もしくは25節)から32節にある。弟息子は父に財
産の譲渡を要求したが、父は素直に彼に与えた。

父はこの後に、弟のことでいきどおる兄(第二の失われた息子)を取り戻そうとし
て、「私のものはすべてお前のものだ」と言った。この二つのことばの背後にあるの
は、父の息子に注がれた同じ愛情である。

A 24a,b節 生き返り、見つかった弟
 B 24c節 開かれる祝宴
  C 27b節 帰還した弟(これまで父と別居)
   D 27c節 ほふらせた肥えた子牛
    E 29b節 孝行息子(兄)
     F 29c節 兄の不服の申し立て(核)
    E 30a節 放蕩息子(弟)
   D 30b節 ほふらせた肥えた子牛
  C 31b節 兄(いつも父と同居)
 B 32a節 開かれる祝宴
A 32b,c節 生き返り、見つかった弟

このように、放蕩息子の兄の話(ルカによる福音書15:24-32)にも、並行構
造があるのではないかと著者は考えている。

□気がついたこと:

ここで、著者が兄息子のことを、第二の失われた息子という表現を使って表している
ことはおもしろいところである。弟息子の方は第一に失われた息子だったが、悔い改
めた。

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