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Re: [saiwainet] 詩篇78篇の構造(松田)
From:
Date:
2002/03/18 11:14
To:
<saiwainet@egroups.co.jp>

+カンノパパです。

> ちょっと混乱した構造になってしまいました。

そうですね。もう少し全体を見渡した方が良いような気がします。
細かく分けたそれぞれのポイントが、どのように連携し一体となっているのかを探り
ましょう。

「民が罪を繰り返し犯す」読んで苦しい詩篇です。
歴史的順番で書かれているのかと思うと、そうでもありません。エフライムが退却す
るところから、荒野に戻り、行きつ戻りつしながら進んでいくようにも見えました。

> 今回の質問「78篇で取り扱われている大きな罪」は、
> ・神を疑う(試みる)
> ・神に信頼しない
> でしょうか。

記憶しなければならないと言われている時代が、荒野の時代とカナンでの時代のふた
つではないかと、構造を見ながら考えました。それで、大きな二つの問題について、
それぞれの時代の中心的な問題を通して考えました。

> そういえば、塾長が持っている何かの本に「イスラエルは記憶の民」
> などという表現があったのを思い出します。

以下、引用です。

ユダヤ人は自ら「記憶の民」と呼ぶ。アブラハムの信仰継承を記念し、エジプトで奴
隷であった日々を記憶し、預言者たちの言行を記録し、タルムードの賢人たちの知恵
を収録し、聖都エルサレムへの絆を確認し、過去の出来事のいっさいを子々孫々に語
り伝え、民族の歴史を維持してきた。ユダヤ人は記憶力の民ではないが、歴史遺産を
記憶記念する民である。その記憶には、民族の偉業と栄光がけが記念されているので
はない。迫害と離散と苦悩と失敗の歴史も記憶され、その痛みと教訓とが世代から世
代にわたって教え継がれてきた。

歴史は民族の戸籍謄本である。ユダヤ人が民族の歴史を大事に記憶する理由の一つ
は、それが世界中に離散したユダヤ人にとって、自分たちの一体性を確認する上で、
最も有効な手段だったからである。しかし、真の歴史教育の持つ、より重大な効果
は、人間を全人格的に啓発するという点にあることも、ユダヤ人は重々承知してい
る。ここで真の歴史教育の意味は、栄光や栄華の歴史だけを強調するのではなく、失
敗や挫折、迫害や没落といった苦悩の歴史を正視し、そこから教訓と反省を学び取る
態度を指すのである。その意味で、ユダヤ人の子弟教育は、痛みの教育であるとも定
義できよう。彼らは、人生の悦楽遊興を子供たちに教えるよりも、人生には暗黒と失
意があることも知らせる。

ユダヤ人はなぜ優秀か p79
ヘブライ文学博士 手島佑郎著
サイマル出版会 1979年

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