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要素A-A'の並行
A ヨセフに対する兄弟たちの敵意(37:1-11)
A'ヨセフ、兄弟たちに念を押す(50:15-26)
これら二つの要素は、それぞれヨセフ物語の導入および結びとして機能する。Aにおいてヨセフが紹介される(創世記30:22-24の誕生は別とする)。彼は17歳の「若者」
である。一方、A'において彼はパロに信頼される助言者として登場し、110歳まで生きたことが述べられる。この対称は印象深い。生涯を通してヨセフが高く上げられたことを示している。
Aの流れはA'でもくり返される。両者においてヨセフは兄弟から離れて単独である点と、父ヤコブが登場しない点が重要だ。また、Aにおいて父と息子はかりそめの「死」によって離別し、A'において父と息子は実際の死によって離別する。
すべてのテーマがストーリーどうしを強く連結している。
- 37:1の「カナンの地(のうち)に」は、50:13で「カナンの地へ」に変わる。
- 「悪い」という語が両者において三回ずつくり返される(37:2,20,33;
50:15,17,20)。
- A(37:2,4)とA'(50:15)の両方において「彼らの父」という表現が目立つ。
- 37:4に「彼の兄たちは見た」とあり、50:15「ヨセフの兄弟たちは見た」とある。
- A(37:4)の動詞語幹「話す」
が、A'(50:17,21)でくり返される。
- A(37:7,9,10)ではヒシュタペル態の語幹「ひれ伏す」
がヨセフの夢で兄弟たちがひれ伏す描写に使われ、A'(50:18)では兄弟たちが来てひれ伏す描写にも使われる。
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